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【イベント案内】中学生・高校生向け『医療・福祉のプロに会いに行こう2023』を開催します
中学生・高校生が若手の医療・福祉専門職との交流を通じ、仕事について知り、考える機会となるよう、『医療・福祉のプロに会いに行こう2023』を開催します。 ■日程 2023年7月27日(金)10:30~12:15 ■会場 長岡崇徳大学(長岡市深沢町2279-8) ※長岡駅前発着の無料送迎バス有り ■内容 ①若手専門職パネルディスカッション ②若手専門職とのフリー交流タイム ※終了後、希望する高校生を対象に「無料ランチ付きキャンパスツアー」を同日開催します。(長岡崇徳大学看護学科コース/長岡崇徳福祉専門学校介護福祉学科コースのいずれかを選択) ■参加申込方法 申込フォーム(Googleフォーム)より(申込期限7月21日(金)) ■お問い合わせ先 一般社団法人 崇徳厚生事業団事務局 担当:石坂 ☎ 070-8468-0558 ✉ jimukyoku@sutokukosei.com -
『私の自利利他』vol.10 訪問看護ステーションみつごうや(在宅リハ)(崇徳厚生事業団Letter令和4年12月号)
訪問看護ステーションみつごうやの訪問車に乗る大平さん 訪問看護ステーションとして新潟県内最大規模の職員数・訪問件数を誇る「訪問看護ステーションみつごうや」。 ここには看護師だけではなく、理学療法士などリハビリテーションの専門職も在籍していることをご存知だろうか。 大平茜(おおだいら あかね)さんは、医療法人崇徳会の3つのステーションを統合して、現在の訪問看護ステーションみつごうやとなった平成19年より前から、在宅リハビリテーション(在宅リハビリ)に従事してきた。 高校生のとき、病院見学でリハビリの現場をみて、「回復していく過程に一緒に関われるということが素敵に思えた」ことが理学療法士を志したきっかけ。身体を大きく一緒に動かしたいと思ったことも、理学療法士に絞った理由の一つだった。 長岡西病院に入職後、数年で在宅リハビリに従事するようになり、以後は訪問リハ一筋で経験を積んできた。 大学の卒業研究も在宅における維持期のリハビリを題材とするなど、もともと訪問リハビリに携わりたいと考えていたが、「ベテランになったら訪問に行けると思っていたので、こんなに早く訪問リハに行かせてもらえるとは思っていなかった。」とのこと。 退院後の生活を一緒に組み立てていく 訪問看護や訪問介護に比べると、在宅リハビリはまだなじみがない方も多いかもしれない。 しかし、地域包括ケアシステムのなかで在宅リハビリは、病院で入院中に行うリハビリとはまた異なる役割を持っている。 「例えば高齢の患者さんが骨折や脳梗塞で入院し退院されると、入院前後で生活がガラッと変わってしまうことがあります。入院中のリハビリで身体機能や能力を向上させて退院しますが、以前の状態までは戻れないことも多いからです。 住み慣れたご自宅ですが、入院前と退院後では身体機能が変わってしまうので、同じ環境だから同じことが出来る状態とは限りません。 病院でももちろん在宅復帰を想定し、退院前にご自宅に訪問して環境整備をしたり、ご自宅の環境を踏まえたリハビリを提供して生活能力を上げて退院出来るよう努力していると思います。 それでも、病院とご自宅とではやはり環境が違うので、身体機能的に病院で出来ていたことがご自宅で出来るとは限りません。整備した環境に適応出来ているか確認することも難しいです。 病院では退院後も続けてほしい訓練を患者さんに指導したり、家族に介護のやり方を指導したりしますが、患者さんが受けた指導のとおり訓練に取り組めるか、ご家族が指導のとおりに介護できるかはまた別です。 そういった観点からも、在宅でリハビリの目が入ることは必要です。それに、退院後の環境や生活状況を見させてもらうことで、もしかしたら患者さんやご家族により合ったご提案ができるかもしれません。 退院後はその方の生活がまた新たにはじまることになるので、一緒に生活を組み立てていく作業が必要だと考えています。」 退院後の生活を組み立てていく作業としては、リハビリや介護指導だけではなく、家具の配置や福祉用具の選択、時には住宅改修のために大工や工務店と一緒に仕事をすることもあるという。 退院後、リハビリを継続することで身体機能や能力がさらに向上したり、長い経過の中で加齢とともに低下する場合もある。そうした状態変化があれば、その都度目標設定や環境整備の再検討が必要になる。 かつては医療職でも訪問リハは何のために何をするのかよくわからないという方もいたが、徐々に医師やケアマネが理解されるようになったとのことだ。 提案するだけではなく、「一緒に考えていく」姿勢を持つ 在宅リハビリの仕事が病院のリハビリと違うのは当然ではあるが、大平さんが最も違いを感じるのは、リハビリを行う場所そのものよりも、利用者との関係性にあるという。 「在宅リハビリは利用者さんの生活の場、テリトリーに入らせていただいて、利用者さんは普段の生活の一部を使って私たちに向き合ってくださいます。 そういった意味で、病院で働いていたときとは心構えが違っています。入院中の患者さんと職員の関係性とはまた少し違った関わり方で、より利用者さんに近い立場になれると感じます。 利用者さんの生活の場でリハビリをさせてもらうことで、利用者さんの背景や人生をよく理解でき、その方に合ったご提案ができることはメリットです。 提案するときも、こちらから提案をするだけではなく、一緒に考えていくという姿勢を持つようにしています。 課題ひとつとっても、『いまここに困っているならここを考えましょう』とか、『私たちだけじゃ気づけないから、困っていることを教えてほしい』とか。 『相談相手にならせてほしい』という姿勢で関わることで、利用者さんから受け入れてもらえると感じます。 訪問だから必要な姿勢というわけではないと思うのですが、私は病院で勤務していたころは気づけていなくて、利用者さんの生活の場に入っていくことで感じ取れるようになりました。」 そんな大平さんでも、提案が受け入れてもらえないことも「いっぱいあります(笑)」とのこと。 「『上手くいかなかったな』で終わることもあります。そのほうが多いかもしれません。 ご家族など介護される方との関係性も見せていただいているので、『この方はどんな引き出しがいいのかな』と考えてあの手この手で関わっていったり……。 あるいは私たちがベストと思う時期と利用者さんが感じるベストの時期がズレていると思えば、時間を置いてみたり、他のアプローチを考えます。」 経験豊富な大平さんだが、現在、理学療法士による訪問は担当制であるため、「独りよがりになっていないか」という不安は常にあるという。 ステーションの統合前はリハ職が一人だけだったが、現在の「訪問看護ステーションみつごうや」はリハ職も複数人在籍していて、さらに、訪問看護師と利用者さんの情報共有もしやすい。 一人で抱え込まないようにと意識し、相談事は積極的に発信することで安心感に繋げているとのこと。 やりたかった在宅リハビリを続けてきて、変わらずにやりがいを感じて、今も楽しいと思えると語ってくれた大平さん。 最後に、未来の仲間に向けてメッセージをいただいた。 「理学療法士だけでなく、『訪問』の仕事はベテランにならないと出来ないというイメージがあって、やりたくても一歩踏み出せない人も多いと思います。 でも、助けてくれる仲間がたくさんいるので、お互いに支え合うことで『できます』。 訪問はすごく楽しいので、やりたいと思う人が増えてほしいです!」 <取材後記> お話を伺う中で、あらゆる場面で「あの手この手で・・・」「これなら受け入れてもらえるかな~と考えて・・・」等とお話しされており、経験で得た引き出しをたくさんお持ちで、常にご利用者様、ご家族様に寄り添った内容を提案・提供されているのが分かりました。 当初から希望されていた在宅リハビリを長年経験され、「いまでも楽しいと思える」とお話しされる姿はとても輝いていました。 (取材・編集:医療法人崇徳会 法人事務局 瀧澤 真紀子、崇徳厚生事業団事務局 石坂 陽之介) ʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔ Twitter、LINE公式アカウントで『崇徳厚生事業団Letter』更新情報を配信しています! フォロー&友達追加をお願いします! Follow @Letter_Sutoku ʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔ -
【お知らせ】「老年問題セミナー2023」を開催します
2025年、更に2040年を見据え、「地域包括ケア」について学び返す機会として、『老年問題セミナー2023~「地域包括ケア」の深化・更なる連携~」を開催します。(主催:(一社)崇徳厚生事業団、後援:新潟県・長岡市・新潟県医師会・長岡市医師会・新潟県社会福祉協議会・長岡市社会福祉協議会、ほか) ■日程 2023年2月25日(土) 10:00~16:40 ■会場 ホテルニューオータニ長岡 NCホール (〒940-0048 新潟県長岡市台町2丁目8ー35) ■内容 講演1「地域包括ケアについて」 (厚生労働省 老健局 認知症施策・地域介護推進課 認知症総合企画官 和田 幸典 さん) 講演2「尊厳を守る在宅医療の実践」 (医療法人アスムス 理事長 太田 秀樹 さん) 講演3「aging.in.place(住み慣れた地域で暮らし続ける)を実現するために~病院医療と在宅ケアチームの連携をできていますか~」 (在宅ケア移行支援研究所 宇都宮 宏子 さん) 講演4「人生をよりよく生きる為のACPについて」 (斎藤内科クリニック 院長 斎藤 忠雄 さん) ■参加費 5,000円(学生1,000円) 懇親会費:6,000円 ※懇親会は参加希望者のみ ※新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況等を鑑み、懇親会は中止とする場合があります。 ■参加申込方法 下記のいずれかの方法によりお申し込みください。 ① Googleフォームより必要事項を入力・送信 ② 申込用紙に必要事項を記入の上、メールまたはFAXで送信 メール:rounenmondai@kobushien.com FAX:0258-47-1243 ※参加申込期限:令和5年2月5日(日) ※定員(200名)に達した場合は先着順 ■お問い合わせ先 老年問題セミナー2023事務局(高齢者総合ケアセンターこぶし園内) 担当者:舩越、佐藤、吉井 ☎0258-46-6610 ✉rounenmondai@kobushien.com 開催案内・参加申込書(PDF版) -
『私の自利利他』vol.9 レスピット・イン・こぶし(崇徳厚生事業団Letter令和4年9月号)
サポートセンター与板 レスピット・イン・こぶしで勤務する頓所さん 辺り一面には青々とした田んぼが広がり、眼前には三島丘陵がそびえる。夏の日のサポートセンター与板「レスピット・イン・こぶし」は、生命力あふれる緑に囲まれていた。 ここで相談員兼介護職員として勤務するのが頓所晃平(とんしょ こうへい)さん。夏の与板のように爽やかな笑顔が印象的だ。 保育士志望から高齢福祉分野へ。悪戦苦闘で成長した日々 長岡市内出身の頓所さんは長岡市立北中学校、中越高校を経て群馬医療福祉大学に進学。 大学進学時は保育士資格取得を念頭に置いていたが、もともと「人と関わりたい」と進路を検討していた頓所さんは、大学での介護の勉強や、長岡福祉協会のこぶし園での実習を通じて「高齢分野も楽しい」と感じ、社会福祉主事の資格も取得して長岡福祉協会に入職した。 相談員兼介護職員としての業務は、請求業務や予約調整、ご家族やケアマネとの連絡など相談員としての事務的な業務と、食事・入浴・排せつなど生活全般の介助など介護職員としての介護業務とがある。 保育専攻から高齢福祉分野への就職でもあり、入職当時は介護業務には大変苦労し、同時に学びも多かった。 「こぶし園では、入職後3か月くらいの間、上司と研修ノートを交換するのですが、わからないことだらけなので、そこでめちゃくちゃ色んなことを聞きました。それで、返していただける言葉がとても深くて。 よく覚えているのは、『利用者に言われたことをそのままやるのがいいサービスなのか』ということ。 頼まれたことをやるのが利用者さんにとっては嬉しいはずですが、それが果たしてその人のためになるのか。自立支援を考えると、やれるところはやっていただいたほうがいい。それでどこまでやればいいのか悩んだり葛藤したりしていました。 あとは『建前にも気を付けて』と言っていただいたことを覚えています。『暑くないですか?』と伺って、利用者さんが『大丈夫です』と答えても、様子をよく見ると暑そうだなということもあります。 そのように観察すべきところは、キリがないというくらいあります。『この仕事は深いなぁ』と思っていました。」 今年度で4年目となり、成長を実感するところもあるが、まだまだ向上心も伺える。 「今になって研修ノートを見返すと『なんでこんなところで迷っていたんだろう』というところもあるので、ちょっとは知識がついたかなと思います。 でも一緒に働いている先輩職員の皆さんはみんな考え方がすごいですし、周りがよく見えていて機転を利かせながら支援をされています。自分はまだまだです。 例えば、歩きたいけども足が疲れて少し危ないなという利用者さんがいらっしゃったとき、自分だったらどうにか座っていてもらうことを考えがちです。 でも、疲れているから座らせようではなくて、歩きたいけど不安定なら歩行器を使っていただこうとか、そういった機転を働かせて支援をされているのを見るとすごいなと思います。」 「また来たい」と思ってもらえる施設に レスピット・イン・こぶしは短期入所生活介護施設、いわゆるショートステイだ。継続した入所は長くても1か月程度で、ほんの数日という方も多い。 ご家族が旅行などで家を空ける必要があるとき、介護疲れを感じてしまっているときなどに短期間過ごしていただく施設。在宅での介護を継続するために必要な施設と言えるが、利用者さんにとっては、「預けられた」と感じてしまうことも考えられる。 だからこそ頓所さんたちレスピット・イン・こぶしの職員は、利用者本人にとっても「また来たい」と思ってもらえる施設を目指している。 「私は写真を撮るのが好きで、自分の趣味である写真を見てもらって皆さんに喜んでもらえることは自分にとって”自利利他”です。 ゆっくり散歩に出かけられる時間を取れればよいのですが、なかなか難しいところもあり、レスピット・イン・こぶしがどういうところにあるのか、与板がどういう町なのかを知らない利用者さんが多い。 それを知ってもらいたくて、施設内に私が撮った与板の写真を飾らせていただいています。 それと、レスピット・イン・こぶしは前向きな職員が多くて、レクリエーションは職員も楽しみながらやっています。 ギターが弾ける職員やフルートが吹ける職員がいたり、利用者さんでハーモニカが出来る方もいたので、昨年の年末の行事では演奏会をしました。 感染対策をしながらどのように演奏会をしたらいいのかを考えた結果、スピーカーをホールに出して、隣の相談室で歌う形にしました。姿は見えないけど生演奏の声と音だけ聞こえてくる(笑)。 コロナ禍前は音楽療法士の方に来ていただいたり、ミュージカルをやりたいねなんて話をしたりもしていました。 施設内でもやり方次第で出来ることが結構あります。写真も額に入れて美術館のように飾ればおしゃれな雰囲気になりますし、四季に合わせて写真を変えたりすれば、利用者さんも喜んでくれる。 いまはコロナ禍で地域との関わりが出来ない中ですが、施設内でも利用者さんに楽しんでもらう方法を考えて少しでも喜んでいただいて、それで『また来たい』と思ってもらえる施設になれれば。」 今後も現場で奮闘する職員として、力をつけていきたいとのこと。そのうえで、このショートステイという場は大変でもあり、やりがいもあるそうだ。 「学生さんやこれからの職員にとってはめちゃくちゃいい経験だと思います。大変は大変ですけど、おすすめです。」とも語ってくれた頓所さん。 お読みの皆さんも、もし選べる機会があれば、レスピット・イン・こぶしのような事業所を選んでみてはいかが。 <取材後記> 最後までお読みいただき、ありがとうございます。 今回はレスピット・イン・こぶしで働く職員へ取材させて頂きました。 頓所さんには今年度数回、学生を対象とした法人説明会にご協力頂いています。今回もいつもの爽やかな笑顔でお話ししてくださいました。 時代・環境に合わせた取り組みを行われているレスピット・イン・こぶし。向上心を持ち成長し続けている先輩たちがいることを、医療・福祉に興味がある学生さんにも伝えたい!そんな気持ちになる一日でした。 (取材・編集:社会福祉法人長岡福祉協会 本部事務局 人財開発課 山谷 映理菜、崇徳厚生事業団事務局 石坂 陽之介) ʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔ Twitter、LINE公式アカウントで『崇徳厚生事業団Letter』更新情報を配信しています! フォロー&友達追加をお願いします! Follow @Letter_Sutoku ʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔ -
【お知らせ】高校生向け医療・福祉の魅力発信事業「医療・福祉のプロに会いに行こう2022」を開催します
進路選択の途上にある高校生が、若手医療・福祉専門職との交流を通して医療・福祉の仕事について知る機会となるよう、『医療・福祉のプロに会いに行こう2022』を開催します。(主催:(一社)崇徳厚生事業団、後援:新潟県教育委員会) ■日程 2022年8月5日(金) 10:30~13:30 ■会場 長岡崇徳大学(〒940-2135 新潟県長岡市深沢町2278−8) ※長岡駅前発着の無料送迎バス有り ■内容 ① 若手医療・福祉専門職によるパネルディスカッション ② 若手福祉専門職交流会 ③ 学生食堂のっぺキッチン(障害者就労継続支援事業B型事業所)でのランチ ■参加対象 高等学校・中等教育学校生徒及び教職員、保護者(定員50人程度) ■参加費 無料 ■参加申込方法 Googleフォームより必要事項を入力・送信 ※参加申込期限7月29日(金) ※定員(50名)に達した場合は先着順 ■お問い合わせ先 一般社団法人 崇徳厚生事業団 事務局 石坂 ☎070-8468-0558 ✉jimukyoku@sutokukosei.com ■関係資料 実施要項 / プレスリリース -
『私の自利利他』vol.8 長岡療育園(崇徳厚生事業団Letter令和4年1月号)
長岡療育園で勤務する太田さん 社会福祉法人 長岡福祉協会が運営する長岡療育園は、重症心身障害児(者)を対象とした、療養介護施設・医療型障害児入所施設である。 2012年施行の法改正以前は重症心身障害児施設と呼ばれており、長岡療育園は1979年に新潟県初の民間重症心身障害児施設として開設した。現在も、同型の民間施設としては県内唯一となっている。 重症心身障害児とは、児童福祉法上の定義によれば「重度の知的障害及び重度の肢体不自由が重複している児童」のことだ。この定義はあくまで行政上のものであり、医学的な定義は明確ではない。 基準としては“大島分類”という方法で判定することが一般的と言われ、大島分類では、知的障害の度合いとしては知能指数が35以下で、かつ運動障害の度合いとしては「走れる」、「歩ける」、「歩けない」、「座れる」、「寝たきり」のうち「座れる」か「寝たきり」にあたる児童が重症心身障害児と判定される。 多くの入所者は、車椅子を押してもらって移動し、食事・排せつなどの生活動作も全介助が基本。また、医療的ケアも必要としており、長岡療育園は児童福祉法上の福祉施設でありながら、医療法上の病院でもある。 長岡療育園にある3つの病棟のうちササユリの名のつく2病棟に勤務するのが、保育士の太田愛永(おおた まなえ)さん。 出身は、長岡市よりもさらに雪深い新潟県南魚沼市。高校卒業後、長岡こども福祉カレッジで保育士の資格を取得し、2020年に長岡福祉協会に入職して現在2年目とフレッシュな若手職員だ。 今回の取材で、医療型障害児入所施設である長岡療育園に勤務する保育士がいることを初めて知ったが、まずはどのような役割を持って働いているのかを伺った。 「精神的な発達は実年齢どおりというわけではありませんが、2病棟に入所されている方は一番若くて20代、高齢な方だと70代なので、一般的な『保育』のイメージとは違いますし、正直に言うと私も入職したとき少し驚きました。 長岡療育園では保育士は介護さんと共に“育生(いくせい)”と呼ばれていて、日々の業務は同じ育生であれば私たち保育士と介護さんとでほとんど違いはありません。」 育生の仕事は、食事・排せつ・入浴・更衣など生活全般の介助・支援、そして、個別支援計画を基に実施する活動などだという。 保育士ならではの目線で利用者の発達年齢から日々の療育や活動を考えていることも伺えたが、全体的には高齢福祉施設の介護福祉士や障害福祉施設の支援員に近く、やはり保育士のイメージとはやや異なる。 保育士養成のカリキュラムの中には障害児保育の講義や障害福祉事業所等での実習も含まれるが、長岡療育園での業務は大きく違った。 「学生時代に就労支援事業所での実習はさせていただきましたが、障害の度合いが全く違うので、入職以来ずっと苦戦しています。 例えば衣服の着脱をするときも、手や脚が拘縮して固まっていると、どこまで力を入れていいのかわからなくて。かといって力が緩むわけでもないので、『ちょっとごめんね』って思いながら……。 排せつ交換も、食事介助も、移乗の仕方も、最初はずっと全部付きっきりで教えてもらいました。 言葉を話せない方も多くて、聞き取るのも大変で、最初は何を話してくれているのかもわかりませんでした。でも、嫌という気持ちを表情に出してくれる方もいますし、ちょっとした首の振りで嫌だということがわかるようになってきました。 表情のほかにも声のトーンだったり、その方なりの感情の伝え方があります。意思表示を読み取るには、たくさんの声掛けや一人ひとりに向き合うことが大切だと感じます。 関わらせていただいているなかで、名前が言える方、覚えられる方に名前を呼んでいただけると、『覚えててくれてる!』と嬉しい気持ちになります。」 手厚い介護・療育に加えて医療的ケアを必須とする重症心身障害児(者)は、日々の生活を続けていくだけでも簡単ではないが、決して長岡療育園の育生や他の職員は、利用者がただ生きていくためだけに居るのではない。 崇徳厚生事業団グループの他の事業所、あるいは、福祉全般に言えることではあるが、福祉施設職員の仕事は、目の前の利用者がその人なりにその人らしく前向きにより良く生きることに寄り添うことである。もちろんそれはここ長岡療育園でも何ら変わらない。 「今年は2年目になって、利用者さんの担当につかせてもらうことになりました。2名担当させていただいているうちの一人の方とは、前任の担当から引き継いで、手紙を制作する活動を行っています。 手紙の送り先は、以前に長岡療育園にいらっしゃって、今は別の施設へ移られた方です。別の施設に行ってしまって、会いたいけど今はコロナ禍もあって会えないので、手紙を送りたいということで始めました。 まずは利用者さんが満足できる手紙が作れたらいいなと思っていますが、利用者さんが何を伝えたいか、どんなふうに制作したいかを出来るだけくみ取って、『自分もやった』という実感を持っていただけるようにと心掛けています。 文章の内容は、例えば今年あったことを『今年はこういうことがありましたよね』、『花火大会がありましたね』と話しかけて何を伝えたいかを聞いて私が書きます。 利用者さんと一緒に制作するために飾りを貼りたいなと思って、糊では難しいのでシールを準備しました。利用者さんとたくさん話をして頷きや首を横に振るなど意思表示を読み取りながら、ハートや花やリボンなど、本人の好きな色や形のものを揃えました。 貼る時も、ピンクが好きなんだろうなと私が思っても、『ピンクがいいですか?青がいいですか?』と聞いて、貼る場所も聞いて。貼る作業は、その方の動かせるところ、手首や手の甲を使って利用者さんに貼ってもらいます。 作っているとき、利用者さんはずっと笑ってくれていて、嬉しそうです。 私も利用者さんたちにはいつも笑顔で関わることを心掛けていますが、それだけではなく、一人ひとりの特徴や障害を理解した上でそれぞれに合った支援が出来るように考えながら行動すること、そしてその方が今出来ていることを維持して、もう少し引き出していくことを目標にしています。」 活動は個別に行うものだけではなく、集団で行う行事もある。太田さんは現在、毎月行う誕生会係の一員でもある。 「誕生会では誕生者にメッセージカードを贈るので、誕生会係がカードづくりをします。写真を貼ってメッセージをかけるところを作って、担当者にメッセージを書いてもらいます。 当日は他の利用者さんたちと歌を歌ったり、誕生者にまつわるクイズを楽しんだり。作ったメッセージカードは他の利用者さんが職員と一緒に読んで、『おめでとうございます』と渡すんです。その日は一年に一度その利用者さんが主役になれる日になります。 準備をしているときは大変ですけど、誕生者の利用者さんや他の利用者さんが楽しんでくれている顔・表情を見ると『やっててよかったな』と感じます。」 保育士養成施設を卒業して長岡療育園に入職し、戸惑いも大きかったであろうし、2年目の終わりが近づいてきた現在も、まだまだ成長過程にあることも事実だろう。 技術や経験を増やしていくことはこれからも必要かもしれないが、太田さんが長岡療育園での仕事に向かう根本の想いや姿勢には何も心配する必要がないことも感じることが出来た。 「年齢が近かったり、逆に両親のような世代で、楽しいし面白いし話しやすい」と言う優しい先輩方に導かれ見守られ、これからも大きく成長していく姿を期待していきたい。 <取材後記> 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 今回の取材対象者の選定にあたり、2年目ということもありフレッシュな意見が伺えると思い、同じ病棟の太田さんを推薦しました。 少しシャイなところもある彼女ですが、一つひとつ丁寧に、真摯に仕事に向き合う姿にいつも感心しています。 重症心身障害児施設と聞くと、「雰囲気が重そう」「怖い」・・・もしかすると、そんなイメージがあるのではないかと思います。 でも実際には、我々と同じように、それぞれの個性を活かし自分自身に出来る表現方法で、毎日を過ごしています。 この記事を通じ、そんな活力のある毎日の様子を知っていただけたら嬉しいです。 (取材・編集:社会福祉法人長岡福祉協会 長岡療育園 保育士 阿部 瑞保、崇徳厚生事業団事務局 石坂 陽之介) ʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔ Twitter、LINE公式アカウントで『崇徳厚生事業団Letter』更新情報を配信しています! フォロー&友達追加をお願いします! Follow @Letter_Sutoku ʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔ -
『私の自利利他』vol.7 介護老人保健施設桃李園(崇徳厚生事業団Letter令和3年11月号)
介護老人保健施設桃李園で勤務する小黒さん 平成8年10月に開設し、このたび25周年を迎えた介護老人保健施設桃李園。運営法人である長岡老人福祉協会も50周年を迎えており、その歴史の半分を桃李園とともに刻んできたことになる。 介護老人保健施設、いわゆる“老健(ろうけん)”は、病院と自宅との橋渡しを行う施設とも言われ、リハビリのスタッフと設備が充実していることが特徴。桃李園に所属する5名のリハビリスタッフの一人が、作業療法士の小黒桃子(おぐろ ももこ)さんである。 作業療法士を志しはじめたのは高校生のころ。祖母が入院した際にリハビリテーションの専門職があることを知り、進学を見据えて調べていくと、理学療法士のほかに、作業療法士や言語聴覚士といった職種があるとわかった。 作業療法士というと、一般的には手のリハビリなどのイメージが強いが、活動を通したリハビリや心のケアを取り扱うのも作業療法の領域であることがわかり、「自分に合うと思った」とのこと。 学生時代、県外の介護老人保健施設での実習を通じて老健への就職を希望。ご両親の要望もあって長岡市内で就職先を探していたところ、桃李園の求人を見つけて応募・入職し、以来、桃李園での勤務を続けている。 「病院での実習は、入院期間中に患者さんの機能を向上させていく、戻るところまで戻すリハビリをするといった印象でした。リハビリメニューを組んで、実施して、どう変化したかを評価してと、それだけでいっぱいいっぱいで、患者さんとじっくり関わるということがなかなか出来ませんでした。 一方、老健での実習は、その人の生活にグッと入り込んでという印象でした。担当する一人の利用者さんに丸々一日くっついて、その人の生活を全部見て評価して、『じゃあ、何をしていくか』を考えてアプローチしてという実習期間は、自分にとっては楽しかったです。 担当したのは認知症の比較的重い利用者さんで、反応もほとんどありませんでしたが、一日丸々一緒にいたりするとちょっとした変化が見られることがあります。そういうことが嬉しかったのが、一番大きかったと思います。」 「今日も良い一日だった」と利用者に思っていただけるような関わりを 療養棟に入所する利用者約100名のリハビリを主に担当しており、個別・集団訓練を提供している。心掛けるのは、「今日も良い一日だった」と利用者に思っていただけるような関わりだ。 「自分がもし年をとって『出来ることが少なくなってしまった』と感じるときを想像したら、やっぱり楽しく過ごしたいだろうと思います。 だって、つまらない一日って嫌ですよね。自分で出来ることが少なくなってしまったとしても、つまらない一日が嫌なのは利用者さんたちも同じはずという思いがずっとあります。 気持ちって体の動きにも連動してくるので、出来なくなってしまったことで気持ちが落ちると身体も具合が悪くなって、どんどん悪循環になってしまうから。私たちが活動やリハビリを提供することで、利用者さんの一日のなかで『この瞬間楽しかったな』ってひとコマでも思っていただける関わりがしたいです。 『なにやりたいですか?』と聞いてみて『別にしたいことなんてない』って言われる方でも、実際はみんなと一緒の空間に居るだけで表情が変わったりとか、いつもとは違う反応が見られたりということはよくあります。 そういうところを探っていく、その人のことを深く知るためにじっくり関わって、そういうところを引き出していけるようにと仕事をしています。」 「自分がいつも楽しくいたい性格」とも語る小黒さんだが、ただ楽しい時間を過ごすだけではなく、やはりそこには作業療法士としての専門性が活かされる。 「例えば音楽療法でも、初めていらした人が傍から見たら『歌ってるな』くらいしかわからないと思いますけど、やっている私たちリハビリスタッフはものすごく考えています。 その人その人の役割を持っていただくのも音楽療法の一環としてやっていることなので、参加する意義、やりがいをもってもらうためにその人の得意な部分を探して、『この人はこれが得意だからここでマイクを持って歌ってもらおう』とか。 それに皆さんの配置も、職員が関わらないと眠ってしまう方は前にしようとか、このふたりが隣にいるとずっと喋っちゃうから離して座ってもらおうかとか(笑)。 それで40人くらいの利用者さんを担当スタッフ3人で回しながら、利用者さんの表情や動きや姿勢をずっと見て。終わったら毎回振り返りを行って『ここは良かったね』、『ここを今度はこうしてみようか』と話しています。 音楽療法のプログラムは私が入職する前から桃李園に受け継がれてきたもので、流れは一緒ですけど、同じ音楽療法でも毎回違う。ただ歌を歌って楽しく過ごしているだけじゃないというところはわかってもらいたいですね。」 いまや、リハビリスタッフの先輩たちから「活動は小黒さんに任せておけば大丈夫」と太鼓判を押されている小黒さん。だが、当初は不安もあったそうだ。 特に、入職当時にリハビリのリーダーをしていた作業療法士の先輩が、小黒さんがまだ1、2年目のころに退職されることになったときは大きな不安を抱えたが、先輩の言葉で前を向くことが出来た。 「活動の主をやってきてくれたのはその方で、頼りにして尊敬していた先輩が辞めることになって、『私はまだOT(作業療法士)として全然何も出来ないのに』と不安でした。でも、今の主任が『私はPT(理学療法士)だから活動については専門性がない。けれど小黒さんは活動が得意だから、そこを頑張ってもらいたい』と、OTとしての私を認めてくださいました。すごく嬉しくて、不安もあったけど頑張ろうって思えました。」 「集団の活動を止めたくない」 進展し続ける高齢社会のなかにあって、3年ごとの介護報酬改定により、老健の役割、そして老健でのリハビリに求められることが変わりつつある。直近の改定で大きかったことは、入所利用者全員に週に2回の個別リハビリが義務づけられたことだ。 「100人いる入所利用者さん全員に、少ないリハビリスタッフで週に2回の個別リハビリを実施するとなると、集団での活動に使える時間がどうしても少なくなります。 確かに、例えば自宅復帰のために階段が昇り降り出来るようにならなきゃいけない利用者さんなどであれば、個別リハビリでそういったトレーニングを実施する効果は高いと思います。でも、全ての利用者さんにとって集団の活動よりも個別リハビリのほうが充実していると言えるのかというと……。 利用者さんたちからも音楽療法やゲートボールや制作活動といった集団の活動を求められる。私としても集団のほうが反応を得られることが多いし、活動性も上がって元気になるし、集団の活動を止めたくないという気持ちが自分の中でありました。」 そういう基準に変わったからと、制度に求められることだけをやっていたほうが職員は楽かもしれない。しかし、小黒さんと桃李園のリハビリスタッフは、基準への適合と、自分たちが利用者のためになると信じる活動との両立を模索した。 「改定があったときにリハビリスタッフでミーティングをして、これまでやってきた業務で、みんなが続けたいことは何かを主任が聞いてくれて、私は『活動は止めたくない』と言いました。 そこから、やらなきゃいけないことをやったうえで、それ以外のことが出来る時間を上手に作っていくために、リハビリスタッフの配置を変えたり、漏れやダブりなく利用者全員に2回の個別リハビリを出来るようチェックシートを作ったりと、無駄なく効率よく実施できる流れを、リハビリスタッフ5人がチームになって作ることが出来ました。 午前に個別リハビリを実施して、午後に利用者さんが楽しみにされている活動を行う時間を確保してと、いまはやりたいことが割と出来ています。」 今年度はノーリフティングケア(抱え上げない介護)委員会の委員長を任されるなど、経験を積むとともに役割は大きくなり、変わっていく。 しかし、利用者が「今日も良い一日だった」と感じてもらえるよう、自分の楽しさが相手に伝わるよう、全力で楽しく仕事がしたいという小黒さんの想いはこれからも変わらない。 <取材後記> まずは最後までお読みいただきましてありがとうございました。 今回の取材対象者の選考にあたっては、『私の自利利他』にまだ取り上げられていない様々な職種が候補に挙がりました。そして、最終的にリハビリスタッフからと決まった段階で、私の頭に真っ先に小黒さんの名前が思い浮かびました。 実際の取材でも、持ち前の明るさを魅せながら、利用者様や仕事に対する思いを熱く語ってくれました。時々脱線してしまったこともあり、あっという間に1時間半も経ってしまっていました(笑) 取材はとても明るい雰囲気で、普段なかなか見られなかった一面も見ることが出来ました。 今後も介護報酬改定のたびに壁にぶち当たり、それまでどおりに仕事が出来ないこともあるかもしれませんが、きっと一緒に乗り越えてくれることと期待しています。 そして、その明るさでいつでも周りの皆さんを楽しませてくれることでしょう♪ 次号もお楽しみに。(取材・編集:社会福祉法人長岡老人福祉協会 介護老人保健施設桃李園 リハビリテーションリーダー 大久保 峻、崇徳厚生事業団事務局 石坂 陽之介) ʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔ Twitter、LINE公式アカウントで『崇徳厚生事業団Letter』更新情報を配信しています! フォロー&友達追加をお願いします! Follow @Letter_Sutoku ʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔ -
『介護サービスえくぼ』(崇徳厚生事業団Letter令和3年9月号)
崇徳厚生事業団グループにはNPO法人「長岡医療と福祉の里 ボランティア連合会」があり、ボランティアのコーディネートなどの事業を行っています。 今回は、ボランティア連合会の主要事業のひとつ「介護サービス えくぼ」について、ボランティア連合会の中澤さんと池田さんからお話を伺いました。 -まずはNPO法人 長岡医療と福祉の里 ボランティア連合会について教えてください。 昭和58年にボランティア連合会の前身であるボランティアサロン「すぎなの会」が発足し、昭和60年に「長岡医療と福祉の里 ボランティア連合会」へ名称変更しました。平成11年にNPO法人格を取得しましたが、県内で医療・福祉分野のNPO法人として第1号の認証でした。同年、「介護サービス えくぼ」を発足しました。 私たちボランティア連合会は、各種の福祉サービス提供で、保健、医療又は福祉の増進に寄与することを目的に掲げ、住み慣れた地域で安心して暮らせるように、支え合いを基本として活動を行っています。 通年事業としては、ボランティアコーディネート、介護サービス えくぼ、ごふく食堂(地域食堂)を行っているほか、中学生ボランティアサマースクールやボランティアセミナーによるボランティアの育成・啓発事業も行ってきました。また、長岡市からの受託事業として、長岡市生活困窮者就労準備支援事業も実施しています。 深沢町に所在するNPO法人長岡医療と福祉の里 ボランティア連合会 外観 -様々な活動を行っているなかで、本日のメインである「介護サービス えくぼ」について詳しくお聞かせください。 えくぼが活動開始した平成11年は、平成12年4月からの介護保険制度開始に向け、市町村や関係機関で調整が進められていました。しかしながら、いつまでもその人らしく過ごすために理想の介護支援があっても、介護保険制度の枠組みだけでは補えないことがあります。 当会では平成8年より「ホームヘルパー資格養成講座」を実施して有資格者の育成に取り組んでおりましたが、介護保険制度では賄えない隙間を少しでも埋めるサービスを提供しようと、有資格者による在宅福祉サービスの仕組みをスタートさせました。 サービスを提供するヘルパー自身にとっても、いつかは自分事になるという「支え合い」の理念のもと活動を行っています。また、えくぼの活動は様々な方々の「そのひとらしい生活」を支えるだけでなく、提供会員にとっても活動を通し多くの学びがあり、やりがいを感じ、生き方を考える機会にもなっています。 現在のえくぼ会員数は、利用会員が75人、提供会員(ヘルパー)が19人となっています。介護事業の限られた予算の中ですべてを支えることは難しいため、自助・互助の活動を行っています。 -提供会員が行うサービスの内容について教えてください。 えくぼは「助け合い事業」であり、「家事支援(掃除、洗濯、話し相手、買い物代行等)」、「身体介護(入浴介助等)」、「付き添い介助(受診付き添い、外出支援等)」の3つが主な内容です。 介護保険制度に基づく在宅介護支援事業とは異なり、サービスの時間や支援内容の範囲についての制約が少なく、その方の生活に必要な支援であれば、ご利用者のご要望に応じて臨機応変に対応することが可能です。 そのため、介護保険制度では「自立」と判定された高齢者の方から、介護保険サービスと併用されている方、障害をお持ちの方など幅広いご利用者の方に利用いただいております。ただし、えくぼは「支え合い事業」ですので、支援に協力してくださる提供会員がいなければ対応できない場合があります。 えくぼ提供会員 -提供会員になりたい場合はどうしたらよいでしょうか。 ご入会いただける方の資格要件としては、ヘルパー、介護福祉士、看護師等の有資格者、介護職員初任者研修修了者となりますが、活動内容によって無資格の方も応相談としています。 活動は、空いた時間の範囲内でご協力いただけます。例えば、週1回1時間の家事援助、月1回の受診付き添いだけなどのご協力でも大丈夫です。 皆さんは、お仕事を退職した後の趣味の合間、お子さんやお孫さんのお世話がない時間帯、他のお仕事のお休みの日など、日常の空いた時間にご協力いただいております。サービス提供に際しては、1時間1,105円~(交通費を含む)をお支払いいたします。 活動開始にあたっては、ご不安がないよう丁寧にご説明させていただきます。同時にボランティア連合会が保険料を負担し、福祉サービス総合補償の保険加入手続きを行います。 初回の活動は同行訪問いたします。また、不安があれば慣れるまでは同行いたしますので、初めてでも安心して活動をはじめられます。 そのほかご不明な点、ご不安な点があれば、ボランティア連合会へ遠慮なくお問い合わせください。 TEL:0258-47-2233(月~金曜/午前8時30分~午後5時) Mail:boraren@road.ocn.ne.jp -提供会員以外の立場でえくぼに貢献する方法がありますか? ボランティア連合会の活動に対し、資金面での支援をいただける方には、年会費1口500円で協力会員になっていただいております。 お預かりした会費は、えくぼのほか、ボランティアコーディネートや地域食堂などにも充てさせていただいております。事業団の皆さまからボランティア連合会の活動をご理解いただきまして、ぜひとも協力会員のご登録をお願いいたします。 ʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔ Twitter、LINE公式アカウントで『崇徳厚生事業団Letter』更新情報を配信しています! フォロー&友達追加をお願いします! Follow @Letter_Sutoku ʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔ -
『私の自利利他』vol.6 長岡セントラルキッチン(崇徳厚生事業団Letter令和3年7月号)
株式会社マイステルジャパン 長岡セントラルキッチンで勤務する金子さん 崇徳厚生事業団グループをはじめ、地元中越地区を中心に新潟・山形を含む医療機関・福祉施設に約9,000食もの食事を毎日提供している長岡セントラルキッチン。平成23年の完成以来、株式会社マイステルジャパンの心臓部として活躍する、まさに「医療・福祉の台所」である。 安全・安心な食事を集中的に、それでいて美味しく提供するため、セントラルキッチンの内部は工程ごとにエリア分けされる。長岡セントラルキッチンに仕入れた食材にまず手を加えるのが7名のスタッフが所属する下処理室であり、金子郁美(かねこ いくみ)さんはここのエリア長兼調理第2部門長を務めている。 生まれ育ったのは米どころとして全国に知られ、自然豊かな魚沼市。調理の道に進むきっかけも、故郷魚沼で出会った。 「高校生のとき、地元のラーメン屋さんでアルバイトをしていたのですが、製麺・仕込みからチャーシューや餃子を焼いたりまで、すごく色々なことを経験させてくれる職場でした。『ここまで私がやるの!?』とも思いながら、料理がこんなふうに出来ているんだとわかったり、出来ることがどんどん増えるのがすごく楽しくて、もっと出来るようになりたいという思いで調理師を目指しました。」 県内の専門学校で学んだ後は「オシャレなお店で働きたい」とイタリアンレストランで勤務。結婚後に小学校の給食に携わるようになると、食事に対する考え方が変わったという。 「レストランは自分たちが主体で『こういうものを提供するのでお客さん来てください』というところ。給食は対象者が主体で、対象者に合わせて作らなければならない。メニューも違うし、カミカミ週間や、地元食材を使った献立といった教育的な取組もあって、子どもたちはこうやって育っていくんだなと、食べることの大切さを実感しました。」 時に相反する“安全な食事”と“美味しい食事”の両立 医療・福祉を専門とする長岡セントラルキッチンで勤務するようになってから、食事の大切さ、特に“安全・安心”への意識は年々増している。そして、ただ安全であるだけでなく、美味しい食事を提供したいという想いも強いが、高度な安全性と美味しさを両立するハードルは高い。 「患者様、利用者様は、ひとつの食材のほんの少しの大きさの違いで食べられる・食べられないが変わってしまう。本当に些細なことでも配慮することは多いです。そして食事はご利用者様の楽しみのひとつで、1日3回食べるものなので、やっぱり美味しく召し上がっていただきたい。でも、安全な食事と美味しい食事の両立はすごく難しくて。例えば中心温度の加熱を確保するとどうしても食材が固くなってしまったり、殺菌消毒の薬剤のにおいが少し残ってしまったりします。」 様々な課題があるなかで、大量調理を行うセントラルキッチンとして、手をかけすぎて作業が終わらなくなっては本末転倒。制約あるなかで何が出来るのかみんなで意見を出し合って、魚の種類ごとに酵素を変えて臭みをとったり、あるいは肉や野菜の切り方を工夫したりと、まさにチーム総動員での試行錯誤の日々だ。 利用者の声を直接聞くことが出来ないセントラルキッチンにおいて、トライ&エラーの指針であるとともに原動力になるのが各施設から送られてくる検食簿だという。 「検食簿を読むと『あのときのあれはよかったんだ』『これはダメだったんだ』というのがわかります。この会社に入る前から、もっと言えば高校生のときにアルバイトをしたときから、自分が作ったものに対して『美味しかったよ』と言っていただけること、自分がやったことを誰かが喜んでくれるのが私はすごく嬉しいんですよね。直接利用者様の声は聴けませんが、ここはちゃんとそれを感じられる職場です。みんながチームになって何か一つの課題に取り組んで成し遂げて、それがさらに利用者様の満足に繋がったんだとわかったときは、『あんなに頑張ってやったことがみなさんに喜んでいただけたんだ』とすごく喜びを感じます。『自分たちがすごく頑張って大根を切っている先に、おいしく食べてくれている人たちがちゃんといて、喜んでくれる人たちがいるんだよ』と、一緒に働くみんなにもっと伝えてあげたい、教えてあげたいと思っています。」 もちろん、上手くいったことばかりではない。つい昨年、高齢者でも常食の方であれば安全に食べられて、『お肉!』を感じられるかたまり肉のビーフシチューを提供しようと、調理部門と栄養管理部門が協力し実に半年以上かけて研究を重ねた。ネックになるのはもちろん、お肉の固さだ。 圧力をかけるのはもちろんのこと、お肉の部位を変え、産地・仕入れのお店を変え、切り方も含めたらもはや「何種類試作して何回試食したかわからない」くらいに検証を重ね、美味しさ、柔らかさとも十分なレベルとなり「これで行きたい」と満を持してグループ受託先の栄養士さんを招いて試食会を行ったが、結局、かたまり肉は断念せざるを得ず、「出したいものを必ずしも受け入れてもらえるわけじゃない」と悔しい思いをした。 「私たちの頑張りをわかってくれる施設栄養士さんも多かったです。でも、そのときはやはり安全性を考えると施設栄養士の立場からは受け入れてもらえず、小間切れ肉での提供となりました。それでも諦めたわけではなく、何かの機会に違う形でこの頑張りを活かせたらなと。」 チームワークを支えるヘルプと感謝 作業工程の最初から最後まで関わるスタッフは誰もおらず、何十人ものチームでひとつの食事を提供しているのがセントラルキッチン。そのなかで金子さんは国際規格ISO22000(食品安全マネジメントシステム)の認証取得等においても、食品安全チーム副リーダーとしてセントラルキッチンを牽引する。 「食品安全管理ってすごく難しくて、厳しい国際規格であるISOについ囚われてしまって、自分たちが日々やっていることに上手く繋げられていないという課題を感じていました。ISOの基準が難しいということはみんながわかっていることなんですけど、日々業務に取り組むなかで、自分たちで決めたルールをきちんと守れているのか、そしてそれは有効なのかを自分たちでチェックしていこうという意識を高められるよう、食品安全チームメンバーが講師となってセントラルキッチン全社員を対象に月1回ミニ講習会を開催する等、今年はうまく進められているかなと手応えを感じています。ISOに限らず、現状維持ではダメだと思っているので、もっと美味しくという取組もそうですし、生産数が今以上に増えても耐えうるようにハード面、ソフト面、教育も含めて全て向上してバージョンアップさせて行きたいという思いが強いです。」 全てがチームとしての取組になるセントラルキッチンにおいて、金子さんが意識していることが「助けて」と「ありがとう」を声に出して伝えることだという。 「自分が全部抱えてしまったら、逆にみんなに迷惑がかかってしまう。自分ひとりでは到底出来ないので、出来ないことは『助けて』というようにしています。自分にしか出来ないっていう状況を作らないように出来る人を育てて『お願い』と言う。本当にみんなの力が必要で、みんなの協力があって出来ていることなので、色んな人に本当に感謝していますし、『ありがとう』という気持ちは伝えようと意識しています。」 セントラルキッチンはいわば食品加工工場である。「工場」という文字からは、決められたことを決められたように淡々とこなしていくような印象を抱くが、長岡セントラルキッチンは工場としての効率性や品質保証を活かしながらも、その中心には人の想いや努力、そしてチームワークと助け合いがあることが金子さんから感じられた。 すぐそばにいなくても、言葉を交わさず顔も合わせないのだとしても、患者・利用者への想いを胸に仕事に向かう姿に変わりはない。 <取材後記> インタビューを受けていただいた金子さんとは、部署は違いますが同じ職場で日々接する機会も多く、いつも笑顔で明るくお話をされる姿に元気をいただいています。 今回の取材を通し、改めて私自身「食事」という形で地域の医療・福祉を支えているのが「給食」である事を感じました。金子さんが笑顔で真摯に答えてくださる姿から、自利利他の精神のもと、日々業務に取り組んでいることが伝わってきました。今後もその素敵な笑顔でますますご活躍されることと思います。 「長岡セントラルキッチンはどんなことをしているのだろう?」そんな風に思う方も少なくは無いと思います。今回、こういった形で「セントラルキッチン」はどういう役割を担っているかを少しでも知って頂ければ幸いです。(取材・編集:株式会社マイステルジャパン 総務部 河上 澄香、崇徳厚生事業団事務局 石坂 陽之介) ʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔ Twitter、LINE公式アカウントで『崇徳厚生事業団Letter』更新情報を配信しています! フォロー&友達追加をお願いします! Follow @Letter_Sutoku ʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔʕ•ᴥ•ʔ -
【お知らせ】高校生向け福祉の魅力発信事業『福祉の仕事を知るツアー2021夏』を開催します
進路選択の途上にある高校生が、若手福祉専門職や福祉専門学生との交流を通して福祉の仕事について知る機会となるよう、『福祉の仕事を知るツアー2021夏~福祉のプロに会いに行こう!』を開催します。 ■日程・会場 2021年8月20日(水) 10:30~12:30 〒940-2135 長岡市上富岡町1961-21 長岡崇徳福祉専門学校 ※長岡駅前発着の無料送迎バス有り ■内容 ① 若手福祉専門職と福祉専門学生によるパネルディスカッション ② 若手福祉専門職・福祉専門学生交流会 ③ 学生食堂のっぺキッチン(障害者就労継続支援事業B型事業所)でのランチ ■参加対象 高等学校・中等教育学校生徒及び教職員、保護者(30人程度) ■参加費 無料 ■参加申込方法 8月6日(金)17時までに長岡崇徳福祉専門学校へ参加申込の旨と必要事項(①氏名(ふりがな)、②学校・学年、③電話番号、④無料バス利用有無)をご連絡ください。 定員枠にまだ空きがあるため、8月18日(水)17時までに申込期限を延長しました! ☎0258-47-3991 ✉boshu-nk@yukyusutoku.jp 学校Webサイトお問い合わせフォーム