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『私の自利利他』vol.10 訪問看護ステーションみつごうや(在宅リハ)(崇徳厚生事業団Letter令和4年12月号)

『私の自利利他』vol.10 訪問看護ステーションみつごうや(在宅リハ)(崇徳厚生事業団Letter令和4年12月号)

訪問看護ステーションみつごうやの訪問車に乗る大平さん

 

訪問看護ステーションとして新潟県内最大規模の職員数・訪問件数を誇る「訪問看護ステーションみつごうや」。

 

ここには看護師だけではなく、理学療法士などリハビリテーションの専門職も在籍していることをご存知だろうか。

 

大平茜(おおだいら あかね)さんは、医療法人崇徳会の3つのステーションを統合して、現在の訪問看護ステーションみつごうやとなった平成19年より前から、在宅リハビリテーション(在宅リハビリ)に従事してきた。

 

 

高校生のとき、病院見学でリハビリの現場をみて、「回復していく過程に一緒に関われるということが素敵に思えた」ことが理学療法士を志したきっかけ。身体を大きく一緒に動かしたいと思ったことも、理学療法士に絞った理由の一つだった。

 

長岡西病院に入職後、数年で在宅リハビリに従事するようになり、以後は訪問リハ一筋で経験を積んできた。

 

大学の卒業研究も在宅における維持期のリハビリを題材とするなど、もともと訪問リハビリに携わりたいと考えていたが、「ベテランになったら訪問に行けると思っていたので、こんなに早く訪問リハに行かせてもらえるとは思っていなかった。」とのこと。

 

退院後の生活を一緒に組み立てていく

 

訪問看護や訪問介護に比べると、在宅リハビリはまだなじみがない方も多いかもしれない。

 

しかし、地域包括ケアシステムのなかで在宅リハビリは、病院で入院中に行うリハビリとはまた異なる役割を持っている。

 

「例えば高齢の患者さんが骨折や脳梗塞で入院し退院されると、入院前後で生活がガラッと変わってしまうことがあります。入院中のリハビリで身体機能や能力を向上させて退院しますが、以前の状態までは戻れないことも多いからです。

 

住み慣れたご自宅ですが、入院前と退院後では身体機能が変わってしまうので、同じ環境だから同じことが出来る状態とは限りません。

 

病院でももちろん在宅復帰を想定し、退院前にご自宅に訪問して環境整備をしたり、ご自宅の環境を踏まえたリハビリを提供して生活能力を上げて退院出来るよう努力していると思います。

 

それでも、病院とご自宅とではやはり環境が違うので、身体機能的に病院で出来ていたことがご自宅で出来るとは限りません。整備した環境に適応出来ているか確認することも難しいです。

 

病院では退院後も続けてほしい訓練を患者さんに指導したり、家族に介護のやり方を指導したりしますが、患者さんが受けた指導のとおり訓練に取り組めるか、ご家族が指導のとおりに介護できるかはまた別です。

 

そういった観点からも、在宅でリハビリの目が入ることは必要です。それに、退院後の環境や生活状況を見させてもらうことで、もしかしたら患者さんやご家族により合ったご提案ができるかもしれません。

 

退院後はその方の生活がまた新たにはじまることになるので、一緒に生活を組み立てていく作業が必要だと考えています。」

 

退院後の生活を組み立てていく作業としては、リハビリや介護指導だけではなく、家具の配置や福祉用具の選択、時には住宅改修のために大工や工務店と一緒に仕事をすることもあるという。

 

退院後、リハビリを継続することで身体機能や能力がさらに向上したり、長い経過の中で加齢とともに低下する場合もある。そうした状態変化があれば、その都度目標設定や環境整備の再検討が必要になる。

 

かつては医療職でも訪問リハは何のために何をするのかよくわからないという方もいたが、徐々に医師やケアマネが理解されるようになったとのことだ。

 

提案するだけではなく、「一緒に考えていく」姿勢を持つ

 

在宅リハビリの仕事が病院のリハビリと違うのは当然ではあるが、大平さんが最も違いを感じるのは、リハビリを行う場所そのものよりも、利用者との関係性にあるという。

 

「在宅リハビリは利用者さんの生活の場、テリトリーに入らせていただいて、利用者さんは普段の生活の一部を使って私たちに向き合ってくださいます。

 

そういった意味で、病院で働いていたときとは心構えが違っています。入院中の患者さんと職員の関係性とはまた少し違った関わり方で、より利用者さんに近い立場になれると感じます。

 

利用者さんの生活の場でリハビリをさせてもらうことで、利用者さんの背景や人生をよく理解でき、その方に合ったご提案ができることはメリットです。

 

提案するときも、こちらから提案をするだけではなく、一緒に考えていくという姿勢を持つようにしています。

 

課題ひとつとっても、『いまここに困っているならここを考えましょう』とか、『私たちだけじゃ気づけないから、困っていることを教えてほしい』とか。

 

『相談相手にならせてほしい』という姿勢で関わることで、利用者さんから受け入れてもらえると感じます。

 

訪問だから必要な姿勢というわけではないと思うのですが、私は病院で勤務していたころは気づけていなくて、利用者さんの生活の場に入っていくことで感じ取れるようになりました。」

 

そんな大平さんでも、提案が受け入れてもらえないことも「いっぱいあります(笑)」とのこと。

 

「『上手くいかなかったな』で終わることもあります。そのほうが多いかもしれません。

 

ご家族など介護される方との関係性も見せていただいているので、『この方はどんな引き出しがいいのかな』と考えてあの手この手で関わっていったり……。

 

あるいは私たちがベストと思う時期と利用者さんが感じるベストの時期がズレていると思えば、時間を置いてみたり、他のアプローチを考えます。」

 

 

経験豊富な大平さんだが、現在、理学療法士による訪問は担当制であるため、「独りよがりになっていないか」という不安は常にあるという。

 

ステーションの統合前はリハ職が一人だけだったが、現在の訪問看護ステーションみつごうやはリハ職も複数人在籍していて、さらに、訪問看護師と利用者さんの情報共有もしやすい。

 

一人で抱え込まないようにと意識し、相談事は積極的に発信することで安心感に繋げているとのこと。

 

 

やりたかった在宅リハビリを続けてきて、変わらずにやりがいを感じて、今も楽しいと思えると語ってくれた大平さん。

 

最後に、未来の仲間に向けてメッセージをいただいた。

 

「理学療法士だけでなく、『訪問』の仕事はベテランにならないと出来ないというイメージがあって、やりたくても一歩踏み出せない人も多いと思います。

 

でも、助けてくれる仲間がたくさんいるので、お互いに支え合うことで『できます』。

 

訪問はすごく楽しいので、やりたいと思う人が増えてほしいです!」

 

<取材後記>

お話を伺う中で、あらゆる場面で「あの手この手で・・・」「これなら受け入れてもらえるかな~と考えて・・・」等とお話しされており、経験で得た引き出しをたくさんお持ちで、常にご利用者様、ご家族様に寄り添った内容を提案・提供されているのが分かりました。

 

当初から希望されていた在宅リハビリを長年経験され、「いまでも楽しいと思える」とお話しされる姿はとても輝いていました。

 

(取材・編集:医療法人崇徳会 法人事務局 瀧澤 真紀子、崇徳厚生事業団事務局 石坂 陽之介)

 

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