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『私の自利利他』vol.9 レスピット・イン・こぶし(崇徳厚生事業団Letter令和4年9月号)

『私の自利利他』vol.9 レスピット・イン・こぶし(崇徳厚生事業団Letter令和4年9月号)

サポートセンター与板 レスピット・イン・こぶしで勤務する頓所さん

 

辺り一面には青々とした田んぼが広がり、眼前には三島丘陵がそびえる。夏の日のサポートセンター与板「レスピット・イン・こぶし」は、生命力あふれる緑に囲まれていた。

 

ここで相談員兼介護職員として勤務するのが頓所晃平(とんしょ こうへい)さん。夏の与板のように爽やかな笑顔が印象的だ。

 

 

保育士志望から高齢福祉分野へ。悪戦苦闘で成長した日々

 

長岡市内出身の頓所さんは長岡市立北中学校、中越高校を経て群馬医療福祉大学に進学。

 

大学進学時は保育士資格取得を念頭に置いていたが、もともと「人と関わりたい」と進路を検討していた頓所さんは、大学での介護の勉強や、長岡福祉協会のこぶし園での実習を通じて「高齢分野も楽しい」と感じ、社会福祉主事の資格も取得して長岡福祉協会に入職した。

 

相談員兼介護職員としての業務は、請求業務や予約調整、ご家族やケアマネとの連絡など相談員としての事務的な業務と、食事・入浴・排せつなど生活全般の介助など介護職員としての介護業務とがある。

 

保育専攻から高齢福祉分野への就職でもあり、入職当時は介護業務には大変苦労し、同時に学びも多かった。

 

「こぶし園では、入職後3か月くらいの間、上司と研修ノートを交換するのですが、わからないことだらけなので、そこでめちゃくちゃ色んなことを聞きました。それで、返していただける言葉がとても深くて。

 

よく覚えているのは、『利用者に言われたことをそのままやるのがいいサービスなのか』ということ。

 

頼まれたことをやるのが利用者さんにとっては嬉しいはずですが、それが果たしてその人のためになるのか。自立支援を考えると、やれるところはやっていただいたほうがいい。それでどこまでやればいいのか悩んだり葛藤したりしていました。

 

あとは『建前にも気を付けて』と言っていただいたことを覚えています。『暑くないですか?』と伺って、利用者さんが『大丈夫です』と答えても、様子をよく見ると暑そうだなということもあります。

 

そのように観察すべきところは、キリがないというくらいあります。『この仕事は深いなぁ』と思っていました。」

 

今年度で4年目となり、成長を実感するところもあるが、まだまだ向上心も伺える。

 

「今になって研修ノートを見返すと『なんでこんなところで迷っていたんだろう』というところもあるので、ちょっとは知識がついたかなと思います。

 

でも一緒に働いている先輩職員の皆さんはみんな考え方がすごいですし、周りがよく見えていて機転を利かせながら支援をされています。自分はまだまだです。

 

例えば、歩きたいけども足が疲れて少し危ないなという利用者さんがいらっしゃったとき、自分だったらどうにか座っていてもらうことを考えがちです。

 

でも、疲れているから座らせようではなくて、歩きたいけど不安定なら歩行器を使っていただこうとか、そういった機転を働かせて支援をされているのを見るとすごいなと思います。」

 

 

「また来たい」と思ってもらえる施設に

 

レスピット・イン・こぶしは短期入所生活介護施設、いわゆるショートステイだ。継続した入所は長くても1か月程度で、ほんの数日という方も多い。

 

ご家族が旅行などで家を空ける必要があるとき、介護疲れを感じてしまっているときなどに短期間過ごしていただく施設。在宅での介護を継続するために必要な施設と言えるが、利用者さんにとっては、「預けられた」と感じてしまうことも考えられる。

 

だからこそ頓所さんたちレスピット・イン・こぶしの職員は、利用者本人にとっても「また来たい」と思ってもらえる施設を目指している。

 

「私は写真を撮るのが好きで、自分の趣味である写真を見てもらって皆さんに喜んでもらえることは自分にとって”自利利他”です。

 

ゆっくり散歩に出かけられる時間を取れればよいのですが、なかなか難しいところもあり、レスピット・イン・こぶしがどういうところにあるのか、与板がどういう町なのかを知らない利用者さんが多い。

 

それを知ってもらいたくて、施設内に私が撮った与板の写真を飾らせていただいています。

 

それと、レスピット・イン・こぶしは前向きな職員が多くて、レクリエーションは職員も楽しみながらやっています。

 

ギターが弾ける職員やフルートが吹ける職員がいたり、利用者さんでハーモニカが出来る方もいたので、昨年の年末の行事では演奏会をしました。

 

感染対策をしながらどのように演奏会をしたらいいのかを考えた結果、スピーカーをホールに出して、隣の相談室で歌う形にしました。姿は見えないけど生演奏の声と音だけ聞こえてくる(笑)。

 

コロナ禍前は音楽療法士の方に来ていただいたり、ミュージカルをやりたいねなんて話をしたりもしていました。

 

施設内でもやり方次第で出来ることが結構あります。写真も額に入れて美術館のように飾ればおしゃれな雰囲気になりますし、四季に合わせて写真を変えたりすれば、利用者さんも喜んでくれる。

 

いまはコロナ禍で地域との関わりが出来ない中ですが、施設内でも利用者さんに楽しんでもらう方法を考えて少しでも喜んでいただいて、それで『また来たい』と思ってもらえる施設になれれば。」

 

 

今後も現場で奮闘する職員として、力をつけていきたいとのこと。そのうえで、このショートステイという場は大変でもあり、やりがいもあるそうだ。

 

「学生さんやこれからの職員にとってはめちゃくちゃいい経験だと思います。大変は大変ですけど、おすすめです。」とも語ってくれた頓所さん。

 

お読みの皆さんも、もし選べる機会があれば、レスピット・イン・こぶしのような事業所を選んでみてはいかが。

 

 

 

<取材後記>

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

今回はレスピット・イン・こぶしで働く職員へ取材させて頂きました。

 

頓所さんには今年度数回、学生を対象とした法人説明会にご協力頂いています。今回もいつもの爽やかな笑顔でお話ししてくださいました。

 

時代・環境に合わせた取り組みを行われているレスピット・イン・こぶし。向上心を持ち成長し続けている先輩たちがいることを、医療・福祉に興味がある学生さんにも伝えたい!そんな気持ちになる一日でした。

 

(取材・編集:社会福祉法人長岡福祉協会 本部事務局 人財開発課 山谷 映理菜、崇徳厚生事業団事務局 石坂 陽之介)

 

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