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『私の自利利他』vol.6 長岡セントラルキッチン(崇徳厚生事業団Letter令和3年7月号)

『私の自利利他』vol.6 長岡セントラルキッチン(崇徳厚生事業団Letter令和3年7月号)

株式会社マイステルジャパン 長岡セントラルキッチンで勤務する金子さん

 

崇徳厚生事業団グループをはじめ、地元中越地区を中心に新潟・山形を含む医療機関・福祉施設に約9,000食もの食事を毎日提供している長岡セントラルキッチン。平成23年の完成以来、株式会社マイステルジャパンの心臓部として活躍する、まさに「医療・福祉の台所」である。

 

安全・安心な食事を集中的に、それでいて美味しく提供するため、セントラルキッチンの内部は工程ごとにエリア分けされる。長岡セントラルキッチンに仕入れた食材にまず手を加えるのが7名のスタッフが所属する下処理室であり、金子郁美(かねこ いくみ)さんはここのエリア長兼調理第2部門長を務めている。

 

 

生まれ育ったのは米どころとして全国に知られ、自然豊かな魚沼市。調理の道に進むきっかけも、故郷魚沼で出会った。

 

「高校生のとき、地元のラーメン屋さんでアルバイトをしていたのですが、製麺・仕込みからチャーシューや餃子を焼いたりまで、すごく色々なことを経験させてくれる職場でした。『ここまで私がやるの!?』とも思いながら、料理がこんなふうに出来ているんだとわかったり、出来ることがどんどん増えるのがすごく楽しくて、もっと出来るようになりたいという思いで調理師を目指しました。」

 

県内の専門学校で学んだ後は「オシャレなお店で働きたい」とイタリアンレストランで勤務。結婚後に小学校の給食に携わるようになると、食事に対する考え方が変わったという。

 

「レストランは自分たちが主体で『こういうものを提供するのでお客さん来てください』というところ。給食は対象者が主体で、対象者に合わせて作らなければならない。メニューも違うし、カミカミ週間や、地元食材を使った献立といった教育的な取組もあって、子どもたちはこうやって育っていくんだなと、食べることの大切さを実感しました。」

 

時に相反する“安全な食事”と“美味しい食事”の両立

 

医療・福祉を専門とする長岡セントラルキッチンで勤務するようになってから、食事の大切さ、特に“安全・安心”への意識は年々増している。そして、ただ安全であるだけでなく、美味しい食事を提供したいという想いも強いが、高度な安全性と美味しさを両立するハードルは高い。

 

「患者様、利用者様は、ひとつの食材のほんの少しの大きさの違いで食べられる・食べられないが変わってしまう。本当に些細なことでも配慮することは多いです。そして食事はご利用者様の楽しみのひとつで、1日3回食べるものなので、やっぱり美味しく召し上がっていただきたい。でも、安全な食事と美味しい食事の両立はすごく難しくて。例えば中心温度の加熱を確保するとどうしても食材が固くなってしまったり、殺菌消毒の薬剤のにおいが少し残ってしまったりします。」

 

様々な課題があるなかで、大量調理を行うセントラルキッチンとして、手をかけすぎて作業が終わらなくなっては本末転倒。制約あるなかで何が出来るのかみんなで意見を出し合って、魚の種類ごとに酵素を変えて臭みをとったり、あるいは肉や野菜の切り方を工夫したりと、まさにチーム総動員での試行錯誤の日々だ。

 

利用者の声を直接聞くことが出来ないセントラルキッチンにおいて、トライ&エラーの指針であるとともに原動力になるのが各施設から送られてくる検食簿だという。

 

「検食簿を読むと『あのときのあれはよかったんだ』『これはダメだったんだ』というのがわかります。この会社に入る前から、もっと言えば高校生のときにアルバイトをしたときから、自分が作ったものに対して『美味しかったよ』と言っていただけること、自分がやったことを誰かが喜んでくれるのが私はすごく嬉しいんですよね。直接利用者様の声は聴けませんが、ここはちゃんとそれを感じられる職場です。みんながチームになって何か一つの課題に取り組んで成し遂げて、それがさらに利用者様の満足に繋がったんだとわかったときは、『あんなに頑張ってやったことがみなさんに喜んでいただけたんだ』とすごく喜びを感じます。『自分たちがすごく頑張って大根を切っている先に、おいしく食べてくれている人たちがちゃんといて、喜んでくれる人たちがいるんだよ』と、一緒に働くみんなにもっと伝えてあげたい、教えてあげたいと思っています。」

 

もちろん、上手くいったことばかりではない。つい昨年、高齢者でも常食の方であれば安全に食べられて、『お肉!』を感じられるかたまり肉のビーフシチューを提供しようと、調理部門と栄養管理部門が協力し実に半年以上かけて研究を重ねた。ネックになるのはもちろん、お肉の固さだ。

 

圧力をかけるのはもちろんのこと、お肉の部位を変え、産地・仕入れのお店を変え、切り方も含めたらもはや「何種類試作して何回試食したかわからない」くらいに検証を重ね、美味しさ、柔らかさとも十分なレベルとなり「これで行きたい」と満を持してグループ受託先の栄養士さんを招いて試食会を行ったが、結局、かたまり肉は断念せざるを得ず、「出したいものを必ずしも受け入れてもらえるわけじゃない」と悔しい思いをした。

 

「私たちの頑張りをわかってくれる施設栄養士さんも多かったです。でも、そのときはやはり安全性を考えると施設栄養士の立場からは受け入れてもらえず、小間切れ肉での提供となりました。それでも諦めたわけではなく、何かの機会に違う形でこの頑張りを活かせたらなと。」

 

 

チームワークを支えるヘルプと感謝

 

作業工程の最初から最後まで関わるスタッフは誰もおらず、何十人ものチームでひとつの食事を提供しているのがセントラルキッチン。そのなかで金子さんは国際規格ISO22000(食品安全マネジメントシステム)の認証取得等においても、食品安全チーム副リーダーとしてセントラルキッチンを牽引する。

 

「食品安全管理ってすごく難しくて、厳しい国際規格であるISOについ囚われてしまって、自分たちが日々やっていることに上手く繋げられていないという課題を感じていました。ISOの基準が難しいということはみんながわかっていることなんですけど、日々業務に取り組むなかで、自分たちで決めたルールをきちんと守れているのか、そしてそれは有効なのかを自分たちでチェックしていこうという意識を高められるよう、食品安全チームメンバーが講師となってセントラルキッチン全社員を対象に月1回ミニ講習会を開催する等、今年はうまく進められているかなと手応えを感じています。ISOに限らず、現状維持ではダメだと思っているので、もっと美味しくという取組もそうですし、生産数が今以上に増えても耐えうるようにハード面、ソフト面、教育も含めて全て向上してバージョンアップさせて行きたいという思いが強いです。」

 

全てがチームとしての取組になるセントラルキッチンにおいて、金子さんが意識していることが「助けて」と「ありがとう」を声に出して伝えることだという。

 

「自分が全部抱えてしまったら、逆にみんなに迷惑がかかってしまう。自分ひとりでは到底出来ないので、出来ないことは『助けて』というようにしています。自分にしか出来ないっていう状況を作らないように出来る人を育てて『お願い』と言う。本当にみんなの力が必要で、みんなの協力があって出来ていることなので、色んな人に本当に感謝していますし、『ありがとう』という気持ちは伝えようと意識しています。」

 

 

 

セントラルキッチンはいわば食品加工工場である。「工場」という文字からは、決められたことを決められたように淡々とこなしていくような印象を抱くが、長岡セントラルキッチンは工場としての効率性や品質保証を活かしながらも、その中心には人の想いや努力、そしてチームワークと助け合いがあることが金子さんから感じられた。

 

すぐそばにいなくても、言葉を交わさず顔も合わせないのだとしても、患者・利用者への想いを胸に仕事に向かう姿に変わりはない。

 

 

<取材後記>

インタビューを受けていただいた金子さんとは、部署は違いますが同じ職場で日々接する機会も多く、いつも笑顔で明るくお話をされる姿に元気をいただいています。

今回の取材を通し、改めて私自身「食事」という形で地域の医療・福祉を支えているのが「給食」である事を感じました。金子さんが笑顔で真摯に答えてくださる姿から、自利利他の精神のもと、日々業務に取り組んでいることが伝わってきました。今後もその素敵な笑顔でますますご活躍されることと思います。

「長岡セントラルキッチンはどんなことをしているのだろう?」そんな風に思う方も少なくは無いと思います。今回、こういった形で「セントラルキッチン」はどういう役割を担っているかを少しでも知って頂ければ幸いです。(取材・編集:株式会社マイステルジャパン 総務部 河上 澄香、崇徳厚生事業団事務局 石坂 陽之介)

 

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